「全部においてかっこいい自分でいたい。でも、すべてを頑張れるキャパはないからこそ優先順位をつける」——。
仕事や家庭と両立しながら本気でサッカーに取り組む社会人チーム「京都紫光クラブ」。
今回は、クラブ在籍2年・2児の父である細谷選手、在籍8年・1児の父である武田選手にインタビュー。(MC:出原選手)
大学卒業後も本気でサッカーを続ける理由、家庭との向き合い方、そして支えてくれる家族への感謝まで——社会人アスリートのリアルな想いを語っていただきました。

(左から10番 出原・7番 武田・3番 細谷)
なあなあで終わらせたくない。社会人になっても「本気」を選ぶ理由
出原:
お二人が紫光に入ったきっかけと、本気でサッカーに向き合い続ける原動力は何ですか?
武田:
俺は野洲高校の同級生からの紹介で入りました。社会人1年目は県リーグのチームにいたんですが、あまり面白くなくて。そのタイミングで「1回練習来てくれ」と言われて参加したのがきっかけです。最初は練習に4、5人しかいなかったんですが(笑)、試合に行ったらレベルも高く、人も本当に良かった。
原動力で言うと、みんなが言う「サッカーが好き」っていうのもある。後は、ずっとサッカーしかしてきてないから、もう生活の一部。なかったら物足りひん。
細谷:
僕は自分の職場のチームに入っていたんですが、「なあなあ」でやっているのが面白くなくて。「このまま終わるのはしょうもないな」と思った。仕事も家庭もある中で時間をつくってサッカーをやるんやったら、中途半端にはやりたくなかった。 それならもう1回最後ちゃんとやろうと思って、嫁に交渉して紫光に入りました。
武田:
滋賀から通ってて、ほんま尊敬するわ。
細谷:
サッカーがあると生活に張りが出るんですよ。仕事ももちろん頑張るけど、サッカーじゃないとそこまで本気にはなれへん。
大学まではみんなサッカーをやる。でも社会人になってからは、本当にやりたい人だけが続ける。その中でも紫光は、それぞれ違う仕事や家庭がある中でも、みんなが本気やから面白い。
綺麗事では済まない家庭との両立
出原:
家庭と仕事、そしてサッカー。普段どういうところを意識して両立を実現しているんですか?
武田:
奥さんの理解はあるんですが、本当に大事な予定の時はサッカーを休んで家庭を優先しています。共働きなので、練習行く前に俺の方が早く帰ってきたらご飯を作ったり、帰ってきて自分で洗濯したり、家のことは奥さんよりやるようにしています。自分は好きなことをやらせてもらっているし、それが苦じゃないから。
細谷:
めっちゃ大事ですね、それ。僕は仕事終わって直で練習だから家のことができないので、もう感謝を伝えるだけです。帰ったら「遅くなってごめん、今日は1日ありがとう」って誠意を見せる。あとは、会社の飲みに行くのとかは「俺サッカーやってるから、そういうのはやめとく」と。そこを犠牲にしないとできないから。
武田:
そこでバランスを取ってるわけじゃないけど、自分は好きなことやらせてもらってるしな。
子どものことをちゃんとやった上でやけど、サッカーを続けてることは仕事でも話題になるし、自分にとってプラスに働くことが多いと思ってる。
細谷:
メリハリがある方がいいって、自分にも言い聞かせてます。
出原:
日々の生活で、葛藤を感じることはありますか?
細谷:
葛藤はめっちゃありますよ。この前の大事な試合の日(4/25京都産業大学戦)、嫁も仕事で僕が子供を親に預けるしかなかったんですが、その日に限って子供が熱を出して。「これでも預ける?」って話になったけど、その日のために準備してきたぐらい行きたい試合で、ギリギリに行ってすぐ帰りました。
こういう葛藤は日々あります。でも、正解はないと思っています。
それこそやから、朝早く起きて走るとか、夜子供を寝かしつけてから走るとか、そういう姿勢をちょっとでも嫁に見せるのは、こんだけ真剣にやってるんやからっていうのは見せんと。遊びでやってるみたいに思われるとあかんから。

(写真:京産戦の細谷選手)
出原:
両方を高いレベルで両立したい中でも仕事で練習に行けないとか、キャパオーバーになるときってあるじゃないですか。
そういう時、お二人はどういう風に向き合ってますか?
武田:
俺の場合は、家庭も仕事も紫光の活動も大事。全てにおいてトップは無理かもしれないけど、サッカーでは試合に出て、チームの中でも頼られる存在でいたい。仕事でもやっぱり同期よりは早く上に行きたいとかもあるし。もちろん家は家で奥さんや子供をすごい大事にしたいみたいなのがある。「全部においてかっこいい自分でいたいな」っていうのがあるんですけど、その3つとも全部頑張れるキャパはないと思ってる。だから優先順位をしっかりつけていて、一番大事なのは「家庭」。その次に「仕事」、その次に「紫光」。そこに大きく差はないけど、どれを優先するか詰まった時は、その順番で考えています。紫光の活動もすごい大事やけど、自分が好きなことでやってて絶対やらなあかんわけではない。
細谷:
紫光は好きで進んでやってることやから、優先順位は3つ並べると一番下やけど、この上の2つとはベクトルが違うから、別物としてやってる感じはありますね。しんどい時ほど走ったりとかした方がいい。上の2つがあるからサッカーできひんわって落ちるよりかは、サッカーのために走るとか練習行くとかやったんやから、後の2つもちゃんとやろう、こっちは自分が好きでやってることやからっていう持っていき方の方があるっすね。今シーズンは出張だらけで全然行けてへんけど、自分が好きでやってるんやから合間縫って走ろうとか、たまに行った時はめっちゃ声出すとか。自分がそこにいる意味は、自分で示さなあかんなと思っています。
環境への感謝と、チームの一員としての覚悟
出原:
お二人が感じる紫光クラブの良さはどんなところですか?
武田:
入った頃に比べて、サッカーをやれる環境が格段に良くなっています。
僕が入った頃は、週末の試合だけ来る選手が多かったけど、途中からちゃんと練習に来ないと試合にも出さへんみたいな。本来理想とする社会人サッカーチームのあり方みたいなのができて。それをきっかけに、自然と「練習に参加するのが当たり前」という雰囲気になって。 むしろ今は、練習する人が多すぎるぐらいになってきてる。
監督やトレーナーなど、自分たちが好きでやっている社会人サッカーをサポートしてくれる人がいるのは本当にありがたいです。そんなチーム、なかなかないと思うんで。その人たちが報われるのは、結果を出して関西リーグに上がるしかない。
自分が紫光にいる間に関西1部とかでやりたいですね。
細谷:
環境はめちゃくちゃいいです。僕も職場のチームでは土のグラウンドで5人で練習していたんで、人工芝で人が揃って練習できるのは最高です。社会人サッカーは、僕らみたいに家庭と仕事があって時間がない人がメインの中で、自分の時間を作って好きなことに真剣に取り組む人が集まっている。だからこそ、自分がちゃんとトレーニングを積んでピッチに立てるように日頃からやっていかないと、この集団の一員にはなれないなと思っています。みんながそう思ってやっている、すごくいいチームです。
若手選手、そして支えてくれる家族へのメッセージ
出原:
若手選手へのメッセージをお願いします。
細谷:
若手には、「1回の活動をもっと大事にしてほしい。そのための準備をもっと大事にしてほしい」ですね。
武田:
気負いすぎずというか、好きにやってほしいなと。俺が若手の頃は自分の好き勝手やらしてもらってたから。チームのこと考えたりっていうのは中堅とか上の人がしっかりやって、若手は気負いすぎず、思い切ってサッカーを楽しんでほしい。試合で活躍してくれたら、それが結果的にチームのためにもなると思う。

(写真:おこしやす戦の武田選手)
出原:
最後に、ご家族へのメッセージもお願いします。
細谷:
紫光の活動に参加させてもらってるから、まず「ありがとう」っていうのと。その分逆にさっき言った通りで、1個の練習も100パーセントでやるし、準備も100パーセントでやるから、また試合を見に来てほしい。
武田:
俺の奥さんは、この何年間付き合ってる時から1回もサッカーを見に来たことがないねんけど。来てとも言ったことないし。
いつもまず、サッカーに行かせてくれてありがとうございます。 子供が生まれたばっかりやからあれやけど、もう少し大きくなったらまた見に来てほしいな。その時は見に来てほしい。
出原: 仕事も家庭も紫光の活動も、全部頑張りましょう。本日はありがとうございました!
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編集後記
出張先での仕事前の走り込み、仕事と紫光の活動の合間の家事など、思わず「今日は休みたい」と感じるような場面でも、もうひと踏ん張りする。彼らがそこまでしてボールを追うのは、それが日々の生活に張りをもたらす「生きるエネルギー」そのものだからと伝わりました。
「しんどい時ほど走る。サッカーのために走ったのだから、仕事も家庭もちゃんとやろう」。細谷選手と武田選手のこの考え方は、アスリートのみならず、日々のタスクに追われる私たち一人ひとりにとっても、深く胸に刺さるメッセージでした。 (広報:亀井)
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